プロスペクト理論は心理学の理論で、ダニエル・カーネマン氏とエイモス・トベルスキー氏が展開した理論だそうです。
ダニエル・カーネマン氏は2002年、にノーベル経済学賞を受賞している頭の良い方です。
このプロスペクト理論というものがFXに大きく影響していて、これを克服しないとFXで勝ち組に入れ無いという意見のトレーダーが多いです。
プロスペクト理論を克服しないとFXではダメなのか?という素朴な疑問について考えてみます。
ちなみに、私はことごとく不正解とされる選択を選んでますが、一応専業トレーダーとして生き残っています…
余談ですが、1997年にノーベル経済学賞を受賞した、マイロン・ショールズ氏が経営陣に入っていたヘッジファンドのロングターム・キャピタル・マネジメント(Long Term Capital Management)がとんでもない額のの損失を出して倒産したという事実があります。
ノーベル経済学賞と聞けば、ご立派に聞こえますが、その程度のものなのかもしれません。
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プロスペクト理論の質問と答え
すでにご存じの方も多いかもしれませんが、プロスペクト理論について一応説明を引用してみます。例えば、以下の二つの質問について考えてみよう。
質問1:あなたの目の前に、以下の二つの選択肢が提示されたものとする。
質問2:あなたは200万円の負債を抱えているものとする。そのとき、同様に以下の二つの選択肢が提示されたものとする。
- 選択肢A:100万円が無条件で手に入る。
- 選択肢B:コインを投げ、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない。
- 選択肢A:無条件で負債が100万円減額され、負債総額が100万円となる。
- 選択肢B:コインを投げ、表が出たら支払いが全額免除されるが、裏が出たら負債総額は変わらない。
引用元:Wikipedia
質問としては上のような質問で、それに対しての答えが、質問1の場合はどっちを選択しても期待値は100万円で同じなのに、Aを選ぶ人が多い。
質問2の場合もどっちを選択しても期待値は‐100万円で同じなのにBを選ぶ人が多い。
というデータがあるそうです。
利益側の質問1では堅実性が高いAを選ぶのに対し、損失側の質問2はギャンブル性が高いBを選ぶということは、利益はすぐに確定させたいと考えるのに対して、損失は後回しにしたいと考える傾向があるということが分かるという理論です。
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理論と実践は違うはず
プロスペクト理論の説明としては上の通りで、利益を早く確定させたいと思う一方で損失を先延ばしにするという考えは、「損小利大」とは逆の発想なので、プロスペクト理論をよく理解して考え方を改善するべきだというのがよく見かける説です。ただ、理論と実践は別物だと思います。
ちなみに私は、質問1も質問2もダメだとされる方を迷わず選択しますし、だから相場で勝てないとは思いません。
相場の実践では、利益と損失が出てそれらは実生活に大きく影響することです。
相場で成功するためにはメンタル管理が大切なのは分かりますが、だからといって損益の数字をただの数字として受け入れることはできないです。
FXでも株でも同じですが、相場をやる目的はお金を稼ぐためで、お金のために相場を張っているのは事実です。
負けても気にしない状態というのは理想的なのかもしれませんが、私は損をした時はかなり考え込みますし、時にはその状態が数週間続くことだってあります。
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プロスペクト理論の克服は可能なのか?
多分「ゾーン」という本が出版された頃からだと思うのですが、心理学的なものを研究すれば誰でもトレードで成功できるという言い回しが増えてきたように感じます。時にはそれを教えてあげるといった感じの、高額な塾のようなものもあります。
広告の売り込みでは、誰しもがトレードで成功できるように教えたり訓練できる能力があると自らを売り込んでいます。
私も何十万円もする塾(コンサル)にお金を使ったことがある経験者ですが、高いお金を払って訳の分からない心理学の話を聞かされても意味不明だった記憶があります。
また、株なら当たりもしない推奨銘柄、FXなら買い・売りどちらの解釈もできる玉虫色の注目のレートなどは実践では全くあてにならなかったです。
結局は、コンサルにお金を払って、更に相場でも損をするというムダ金を払う羽目になり、今にして思えば、あれほど無駄な金と時間は無かったと後悔しています。
トレードのコーチたちは得意げにプロスペクト理論について語りますが、それを改善するための具体的な方法については今まで目にしたことがありません。
結局のところは、人間である以上プロスペクト理論に歯向かうことなどは難しいことで、そこに労力を掛けるのは効率が悪い可能性があるというのが個人的な意見です。
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まとめ
プロスペクト理論という理論があることを知っておくことは大切だと思います。しかし、残念ながら私は改善したり克服したりする方法は、いまだに見つけることができていません。
結局のところは、
- お金儲けのためにトレードをやっている
- 負ければ落ち込むこともある
- 勝てば油断することもある
- 失敗したら、改善点を洗い出して検証する
- トライアンドエラーを繰り返す
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